当農園の1年間のスケジュールについて紹介します。
米作りと言えば、田植えや稲刈りが注目されがちですが、実はそれ以外の時期も、米農家は忙しくしています。
当農園の地域性
フジモト農園は、岡山県南部にあります。
川の下流域にあり、昔から稲と麦の二毛作をしていたことから、全国平均に比べると米作りのスケジュールは遅め。
例えば、ゴールデンウィーク明けに田植えが始まる地域が多くありますが、私の地域では6月中旬頃に田植えをします。
稲刈りも遅く、10月上旬から11月上旬頃。
出荷が終了するのは11月末です。
栽培品種は、中生品種の「にこまる」と、晩生品種の「アケボノ」の2種類。
にこまるは、近年岡山県南部で栽培面積が拡大している品種、アケボノは、古くから岡山県で栽培されている品種です。
当農園の1年間のスケジュール
それでは、1年間のスケジュールを紹介します。
1月・2月:デスクワークの季節(経費精算・確定申告)
冬は田んぼでの作業が少なく、比較的自由な時間が多い時期です。
そのため、この時期は経費精算をしたり、栽培計画を立てたりと、頭を使う仕事をします。
具体的には以下の通りです。
- 肥料や農薬、資材の購入記録の整理
- 機械の燃料費・修理費の整理
- 収穫量と売り上げの集計
- 確定申告の準備
これらを通して、前年の栽培を振り返ります。
- 肥料は多かったか、少なかったか
- 収量が多かった田んぼの条件な何か
- コストと品質のバランスはどうだったか
こうした分析を行い、今年の栽培計画を立てます。
また、必要な資材についても整理し、いつでも発注できるようにしておきます。
3月・4月:田んぼを起こす(田起こし)
春になり、田んぼに少しずつ雑草が生え始めると、外での作業が始まります。
最初の仕事は「田起こし」です。
トラクターで田んぼの土を掘り起こし、冬の間固まっていた田んぼをほぐします。
こうすることで土の中に空気が入り、微生物が動き始め、稲わらが分解されて栄養分へと変わります。
ここで土をほぐしておかないと、後から肥料や管理をどれだけ頑張っても、品質の高い稲には育ちません。
見た目にはただ土を耕しているだけの作業ですが、収穫量や食味に直結する大切な準備作業です。
5月:種から育てる苗作り
5月に入ると、苗を作ります。
「苗は購入する」という農家さんも多いようですが、当農園では自家採取の種+購入種子を使って、苗作りを行なっています。
この時期に行う作業は以下の通りです。
- 塩水選:種籾の選別作業。種籾を食塩水に浸し、沈んだ種籾(実の詰まった良質な種籾)だけを選別する。
- 種子消毒:消毒液に24時間浸し、殺菌・殺虫する。
- 芽出し:発芽が揃うよう、種籾を水につけて少しだけ発芽させる。
- 播種:苗箱に種籾を撒き、苗床に並べる。
苗作りは、米作りの中で最も重要な作業です。
ここで良い苗が作れるかが、その年の米の品質・収量を大きく左右します。
そのため、5月は会社勤めの合間を縫って、ひたすら種籾・苗と向き合います。
1年の中で最も不安に駆られる時期ですが、「ここの乗り切ればあとは波に乗るだけ!」と言い聞かせながら、祈るように毎日を過ごしています。
ちなみに、播種は家族総出で行なっており、最近では私の友人にも手伝ってもらっています。
1年の中で唯一、大人数でワイワイ言いながらの作業なので、毎回さまざまなハプニングがありつつも、楽しく作業しています。
6月:代かき・田植え
6月は繁忙期です。
当農園では2週間かけて、代かきと田植えを行います。
田植え週間の大まかなスケジュールは以下の通りです。
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
| 会社 | 代かき | 代かき | 会社 | 会社 | 田植え | 田植え |
| 休み | 代かき | 代かき | 会社 | 会社 | 田植え | 田植え |
この時期は会社に無理を言って、休みをいただいて代かき・田植えをしています(理解のある会社で良かった)。
代かきとは、田植え前の田んぼに水を入れて、トラクターで土を細かく砕いて混ぜ、表面を平らにする作業のことです。
当農園では田植えの2、3日前に行うようにしています。
田植えは、「田植え機が故障しませんように」と、祈りながらやっています(笑)
苗の生育は待ってくれないので、基本的に大嵐出ない限り、雨でも実施します!
なお、田植え週間の前には、田んぼに水を入れるためのモーターを設置したり、田植え機や道具の準備をしたりと、田植えの準備に追われています。
田植えが終わると、田植え機で植えられなかった部分を手植えする「補植」という作業をして、田植え終了です。
7月〜9月:ひたすら管理(水管理・草刈り・防除)
田植えが終わたら、管理作業に入ります。
主な作業は以下の通りです。
- 水管理:毎日田んぼを見回り、水を入れたり抜いたりする。水の量は天候や生育に合わせて変える。
- 草刈り:草が多い場合は田んぼの中に入って草を刈る。畦畔の除草も行う。
- 防除:必要に応じて農薬を散布し、病気や害虫を防ぐ
地味な作業が多いですが、どの作業も品質を守るために欠かせない作業です。
中でも大変なのは草刈り。
特に、ヒエが大繁殖した年は、真夏の暑い中、田んぼに入ってヒエ取りをします。
暑い・足場が悪い・ヒエが大きくて重たいの三重苦を味わえる、非常に過酷な作業です(笑)
10月・11月:収穫(稲刈り・籾摺り)
秋は収穫の季節です。
例年、10月上旬から「にこまる」の稲刈り、10月後半から「アケボノ」の稲刈りを始めます。
当農園では全量籾摺りしてから出荷しているため「にこまるの稲刈り→にこまるの籾摺り→アケボノの稲刈り→アケボノの籾摺り」というスケジュールで進めています。
刈り取った稲は乾燥させて、籾摺りをして玄米にします。
この工程を経て、ようやく食べられるお米になります。
1年間の努力が形になる瞬間であり、農家にとって最も嬉しい季節です。
毎年、籾摺り直後の新米を食べるのが、その年1番の楽しみです。
なお、お米は大半をJAに出荷していますが、事前に注文いただいた方には個別でお送りしています。
また、この時期は季節の変わり目を体感しやすい時期で、稲刈りが始まった頃はまだ暖かいのですが、稲刈り終盤になると日中でも肌寒く感じる日が多くなります。
12月:土づくり
出荷までの作業が終わった一息ついたら、最後にトラクターで田んぼを耕します。
稲わらを田んぼにすき込んで、稲わらの腐熟促進、地力向上、雑草・害虫の防除などを促します。
この作業を冬にやっておくか否かで、翌年の米作りに影響が出ます。
つまり、収穫が終わった瞬間から、次の年の米作りが始まるのです。
まとめ:米作りは1年間を通して作業があります
お米は秋に収穫される作物ですが、実際には1年を通して手入れを続けています。
- 冬:計画を立てる
- 春:土を作る
- 初夏:植える
- 夏:育てる
- 秋:収穫する
- 冬:次の準備
このサイクルを毎年繰り返しながら、少しずつ改良を重ねています。
本ブログでは、田植えや稲刈りなどの各作業を詳しく紹介したり、実際の作業の様子をお届けしたりする予定です。
普段食べているお米が、どのような過程を経て食卓に届くのか。
少しでも身近に感じていただければ嬉しいです。


